パチパチ…。

木炭で起こした火は、静かに肉や野菜を焼く。


ヒサシは

「しっかし久しぶりだぜ〜!こんな風にメシ食うの。」

と言った。

ついさっき、同じ様な事を言った、元カノのひとみは浴衣に悪戦苦闘してるのか、まだ戻って来ない。

「ほらっ、あかり、三日そんなに食ってないんだから、たんと食べっ」

祖母は言う。

「ばあちゃぁ〜ん、私太っちゃうよ〜」


と、お団子頭に白い花飾りを付けたあかりは可愛らしく言う。


そのあかりの様子に見惚れてたタケルは


「ほれっ、今日チューするんだろっ!?」

と、先ほどまであかりに話しかけていた祖母が、タケルの耳元で言う。

(………!!)

タケルは真っ赤になり、口につけようとしてたウーロン茶をブホッと吹いた。

やだーきたなーいというあかりを睨みつつ、ばあちゃんを見上げる。

ばあちゃんは
はっはっはと笑いながら、

「んなもん、最初っからお見通しださ。
ばあちゃんばナメんな。」
と言い、ハッハッハと笑う。


そんな祖母の口ぶりから

(…も、もしかしたら、じいちゃんがチュウチュウ言うの、ばあちゃんの差し金ッ?!)


タケルは「ばあちゃんは結構腹黒いんではないか」疑惑を持ちつつ、

「花火もあるからねぇ〜。
私らは寝ちょるから、あんたら勝手にやってなさい。」

と言う。



かぁぁ〜

タケルはまた赤面してしまう。

ヒサシや父さんなら言い返したり、突っ込んだり出来るのに、何故じいちゃんやばあちゃんには出来ないのか…。


そんな事を思いながら。


そんな時

ザーと言う砂利の音と、見覚えのある紺の車が到着した。


うつらこつらとしていたユウキは

ハッとその物音に目を覚まし

「パパだぁぁ〜」

と言った。


ヒサシは「げ。お、おさむ…」


と、そそくさ退散しようとした所。


バターン、タタタタタ…!!!

と、あかりの祖父母の家の方からドアが乱暴に開閉する音が聞こえ、砂利の中物凄く早く走って来るひとみが来た。