祖父は
「こらこら、頼むから火に近づかないでくれよ」

とひとみとヒサシに言う。

ヒサシは

「ぎゃぁぁぁぁ〜っ!!」

と、断末魔をあげた。


後ろでやられてる光景を

タケルは
(お、俺は何も見てない、見てない)

と必死に自己暗示をかける。


そんな時である。


「皆さんお待たせっ!!」

そう言いタケルの母だ。

その後に続き二つの影が車庫に入って来た。


「んもぉーう、ヒサシくんってば大声出して〜。
ご近所迷惑でしょ」

タケルの母はヒサシにそう言う。


「ちげっ、ゆかこさん、これはひとみがっ!!」

「私がなんだってぇぇ〜!?」


メデューサ状態のひとみはヒサシの胸倉を掴む。


タケルとシンは慌てて

「ま、ま、あ、後でね、続きは、後でね」

と、逆に逆上しかねないひとみを気遣い、ひとみとヒサシにそう言い、引き離した。


「んもぉ〜。ヒサシを亡き者にするチャンスだと思ったのにぃ〜」


「は…ははははは……」


己の姉ながら、ここまで激怒したひとみが怖くて何も言えないタケルは、苦笑いした。


「今日は豪勢だよ〜!!ラムに牛にあとはこないだ取ったじゃがいも、とうきびもある。」


あかりの祖母はそう言う。


ひとみとシンは

「いやった!!いっぱい食べよ!!」

「おさむちゃん早く来てくれないかしら〜」


と言った。


そして残る影はただ一人。


タケルは思わず目を見張った。


あかりが黒の背景に色とりどりの葉の絵柄が書かれた浴衣姿だったから。


「え〜!!あかりちゃん、良いなぁ〜!!」

と、ひとみは言う。

「ふふ、ひとみちゃんの分もちゃんと用意してあるわよっ」

タケルの母は、ひとみにそう言った。

「お母さん、ありがとぉぉ〜!!」

ひとみは叫びながら、タケルの家に向かう。

「こらこら、転ぶんでないよ。」

あかりの祖母が、ひとみにそう言った。