祖父は続ける

「あかりはな。一人で病院にも言ったらしい。
そして、何度もあかりの母親と相手にも言おうとしてたらしい。


けど…」


「何も伝わらなかった…って事ですよね…?」

シンが祖父にそう言った。


「そうなんだよ…。
俺は、ホントに悔いた。
何故あんな笑顔が煌めいている、うちの孫がこんな風になるなんて…と。」


俺が傍にいたらこんな風にはならなかった。

祖父はそう言いたいんだと、タケルは思った。


「だからよ、こっち来てからのあかりが昔みたいな笑顔に戻ってく姿を見て、なんでだろってずっと思ってたんだ。

いっつも、うるせー言い争いばっかだったからに、大丈夫かと思ったけど。

タケル、お前と牛舎で色んな作業して。

あかりが昔のあかりに戻って来てる…そう思ったんだ」


タケルは

「で、でも、俺が好きだからって言って、あかりがどう思ってるか分からないし…!!」


少し尻込みするように言った。


「バーカ」

ヒサシはタケルの頭をどつく。


「嫌いなヤツと一緒になんで毎朝一緒に作業なんかするかぁ?」


ひとみとシンがうんうんと頷く。


「大丈夫よ。今日だって、真っ先に行ったの、タケルの所だったでしょ?」


「なんの話してるかわかんないけど、あかりちゃん、タケおじさんの事好きだと思うよ。」

ユウキが言う。

子どもの目は侮れない…そう思い、うれしく思いつつ。
「こーら、おじさんってゆーな。俺まだ18だぜ?」
と言った。

「でも6歳の僕にとってはおじ…」

そう言った所で

「こるぁぁぁ〜!!ユウキ、てめ、タケルがおじさんならおりゃなんぢゃ〜!!!」

とヒサシがユウキに怒鳴った。


ユウキはヒサシの気迫にヒッとなり

「うぇぇ〜ん」

と泣きはじめた。


そうすると、ヒュンとひとみのメヂューサが復活し

「ヒサシくん…?私の息子に何言うのかな…?」

とそりゃもう、目も当てられない形相で、しかも落ち着いた声で言うひとみに、ヒサシは「ひ…ッ」となる。