「俺はな、あかりに幸せになってもらいたいんだ。」

祖父は遠い目をしながら。

「あいつはさ、あいつの母親にあまり良く見られてなくて、いっつも勉強ばっかりしておった。
あまりにも厳しく叱っていたから、俺達はあかりが13歳の頃に、キツくあいつの母親に行ったんだ。

「勉強ばかりさせて、あかりの将来をどうするつもりなんだ」と。」

あかりの母親は、その頃、タケルと遊ぶだけで夜中寝させない位勉強を強要してたらしい。

タケルはその知らなかった過去を知り、愕然とする。

「タケちゃ〜ん」と、あれだけ笑って、駆け寄って来てたのに…。


「おらぁ、勉強するのは良いと思ってる。
けど、あいつは、眠いと零すあかりに向かって、ここにいる間ずっと怒鳴り付けてた。
あかりは朝早く起きて、俺達が仕事に出る前に勉強してたんだ。

夜中の2時まで勉強させて、あかりは6時から、お母さんに何も言われないように、一人でやってたんだ。

俺らはその事を知ってたから、「あかりの上辺だけを見るな」と怒鳴った。

…でもそれ以来、あかり達は正月も来なくなってしまった。」


タケルは、それからのあかりがどういう生活をしていたかが気になった。


「そぉしたらさ、今年の3月に学校の屋上から飛び降りたんだ。」


ひとみは
「え…?」と言う。


タケルもあかりから少しは聞いていたが、驚いていた。


それはシンも同じだろう。


「あかりは5ヶ月の子どもを身篭っておった。

あかりが言ったばあちゃんから聞いた話だけどな?

悪い男に引っ掛かって、あかりは避妊してほしいとずっと言ってたのに、避妊をしてくれなかったらしい。

そして、悲しい事にな。
あかりと仲の良い友達とも関係を持っていたらしいんだ。

その友達に一方的に「死ね」と言われたらしいんだ。」


ひとみは

「なにそれ…許せない……」

と、怒りをわらわにする。

ヒサシは
「ま、そんな男とか、友達しか作れなかったあかりも弱かったんだがな…」

と言った。