「着いたぞー!」

雪お兄ちゃんの声に反応して外を見るうさぎたち。

「これって大きすぎない?
それとも、別荘ってこんなもんなの?」

「平均を知らないからなんとも言えないけど、元々は老夫婦が使用人雇って暮らしていたお屋敷なんだって。
それでその人達が都会の方で暮らしている息子さん達と一緒に住む事になって、ここを手放そうとしてた時に父さんと知り合ってそのまま買い取ったらしい。」

「ずいぶん思い切った買い物だな。」

「プライベートビーチが魅力だったから。」

「そっか。」

男の人達が荷物を下ろす中、私は鍵を開け空気を入れ換えるために先に屋敷に入ろうとした。

「お帰りなさいませ、聖歌お嬢様。」

鍵を開ける前に扉が開き中から私より少し年上くらいの女の人が出て来た。

「!?」

当然人はいないものと思っていた私はフリーズ状態。
突然の出来事に対応しきれないでいた。

「姉ちゃん何やって…。どちら様でしょうか?」

琥珀もびっくりしている様子。

「ここの管理と貴方方のお世話を任されております木下京子(キノシタ キョウコ)の孫娘、瑠璃(ルリ)と申します。
本来ならば祖母がお出迎えさせて頂くのですが調子が優れず、代わりに私がお世話させて頂く事になりました。」

そういえば住み込みのお手伝いさんが居たことを忘れていた。
時々遊びに来ていた琥珀は覚えていたらしい。

「あぁ!京子さんのお孫さん。
え?京子さん大丈夫なんですか!?」

「ええ。
お恥ずかしい話なのですが、少し前に旅行に行った時にまだまだ若い人には負けていられないと無理をしてギックリ腰に…。」

「(確かにそんな感じの人だよな、京子さんって。)
お大事に。」

「ご心配頂き痛み入ます。
祖母と比べればまだまだ至らないところが多いと思いますが、快適に過ごして頂くため全力を尽くさせていただきますので宜しくお願いいたします。」

「こちらこそ宜しくお願いします。」

琥珀が頭を下げたのに習って私も頭を下げる。

再度顔を見るとニッコリ微笑まれた。
初めて会った気がしない。

「あの!もしかして前に会ったことありますか?」

「はい。お久しぶりです。」

やっぱり!でもなぜか違和感がある。