「こう…ですか?」




『ちがう』


今は昼休み。今日遅刻したせいで大幅に皆に置いていかれたあたしは授業中だけでは足りず、昼休みに吉村先生の個人レッスンをうけていた。



『だから~ちがう』


先生は呆れて言う。





「…だって…わかんないんだもん」

先生に聞こえないよう、小さく呟いた。




『お前は学習能力がないのか』

と言ってあたしの頭をコツンと叩いた。


『ここはこうするんだよ』
そう言って丁寧に教える。


先生が近づく度に心臓が高鳴って、顔が熱くなる。


―ドキドキ…ドキドキ――


―どうしてドキドキするんだろう。
先生といるといつも普通でいられなくなる…。どうしてこんなにも心をかき乱されるのだろう…。


『おい』

あまりにも整っている横顔をみながらボーッと考えていると、先生がこちらを見ていた。


「えっ・・・あ、すみません」

あわてて視線をそらす。


『ったくみとれてんなよばーか』


そういって頭をぽんぽん、と触る。



―――あ、どうしよう、顔赤くなっちゃう。


速くなる心臓。―ドキドキしてるのばれてないかな…

















『みのり』



ふいに名前を呼ばれた。



先生の方をチラッとみると




『ったく…お前は集中してないな?だから今日はこのくらいにしといてやるよ』


そう言って優しく笑う。



『もう遅刻すんなよ。教えるのだるいから』



そして――――――――チュッ………





先生はあたしの頬にリップ音を立てキスをした。




『個人レッスン代』



はにかんで笑いパソコン室から出て行った。