ッッ!?


私は驚きのあまり手に持っていたトレーを落としてしまった。


目の前に立ったカインは私の腕を掴み、私の唇に自分の唇を重ねキスをした。


カインに掴まれた腕を振りほどき手を振りかざした。


だけど、その手を降り下ろすことは出来なかった。


カインがあまりにも切なく、子供のような顔をして今にも泣きそうな顔をしていたから。



「カイン……?」

『ッッ!!』



我に返ったかのようにハッとしたカインは、顔を背け冷静な様を装うとしているようだった。



『今のは忘れてくれ』

「…………」



私は何も答える事が出来ず、トレーを持って部屋を後にした。