食事の準備を終え、部屋を出ようとドアノブに手をかけようとしたところで女の動きが止まった。


女は体ごとこちらを向きなおし、真剣な顔で俺を見据えた。


そして形のいいふっくらとした唇を動かした。



「サルエラを滅ぼした時、お城まで私を殺しにきたのはカインなの?」

『……いや、レイドだ』

「そう……貴方は私の血が欲しがったのではないの?」

『お前の血に興味などなかった。国を滅ぼすことにも。今回はシエル・エメラルディアとやりあう為にお前の血が必要なだけだ』



シエル・エメラルディアの名を出すと女は瞳を揺るがせ動揺を見せた。