〔4〕         

「じゃ、待ってるね!?」            
「ああっ…」                  
玄関先で香澄を見送る。             


「葵!!送って行かなくて良いの?」                   
母親が顔を出す。                
「うん。何でも人と待ち合わせているんだって!?」            
「彼氏!?」                  
「家庭教師の先生…」

「香澄ちゃん、家庭教師を付けているんだ。さすが、『土門グループ』の一人娘!!葵、あんたも付ける?」                       
「結構だよ!」                 
胸に『もやもや』とした物が沸き起こる。                 
「そう…もうすぐご飯だから、美優を呼んで来て!」            
『高嶺の花』とは分かっているが、それでも手を出してみたいというのが心情だろう。だが、今は余りにも束縛される物が多すぎる。                                                                                                                                      



「待った!?」                
「私もさっき来たところ…」                                   
二人は駅近くのファミレスにいた。                             
「もう午後10時だけど大丈夫!?」                 
「平気平気!うちの家、あ〜見えて結構放任主義なの!でも、さすがに朝帰りはまずいけど…」                 
「朝帰りって、したことあるのか!?」                 
「一度ね…」                  
葵にはもはや言葉がなかった。