陽はまだ高かったが、楽しい夕食(ゆうげ)であった。
山中の顔にも生気が戻る。
女性陣は川辺で『涼』を取っていた。
「葵殿!」
「はい!?」
「今日、拙者はつくづく思ったで御座る」
「……」
「やはり人間働かないとダメだという事を…拙者、明日にも今回の仕事を断ろうと思います」
「そうですか、それが良いかも知れません…でも、貰った支度金は?」
「少しの貯えと雪之が田舎を出て来る時に家財道具などを処分したお金があります故、それでなんとか…」
「差し出がましいようですが、私も若干のお金なら…」
「かたじけない。でも、その心遣いだけを有り難く頂戴しておきます」
「でも……」
「いや、いざとなった暁には頼むやも知れませぬがそれまでは…」
「そうですか、分かりました」
「ところで話は変わりますが…」
「はい!?」
「雪之をどう思われます?」
「どうって?」
「幸恵が言うには雪之は『葵殿を好いているんじゃないか?』っていう事なのですが…!?」
「私をですか…!?」
「拙者も葵殿が雪之と所帯を持っていただけるならこれ程嬉しい事はありませぬ。如何か?」
「私も雪之殿は好きです」
「左様か!?これはめでたい!!」
「でも……」