「今、ふと思ったんだけど、葵に『巻き物』をくれた人…」

「『長谷部徳蔵』さん」

「そう、その人のお墓って…」

「『菩提寺』だよ!」                
「えっ、調べたの?」              
「うん」                    
「それで?」                  
「開祖が『長谷部一徳』という人だけど、その人は1730年に亡くなっている」                       
「じゃあ、その人は関係ないのね!?」                  
「いや、死んだ時期が違うだけで関係ないかどうかは分からない」

「そうなんだあ…」               
「取り敢えず一度戻って和尚さんの話を聞こう。何か見つかったかも知れないし…」                                  
葵と香澄は今来た道を戻り本堂に向かう。                                                                                                                             


「如何でしたか?」               
香澄が今までの不思議な出来事を話す。                  
「享保10年ですか!?何か因縁めいているような…」

「えっ、どういう事ですか?」

「実は、少し調べてみたのですが……ありました!」                
「何がですか?」                
「享保10年に同じような出来事が…」               
「えーーーっ!!!」              
葵と香澄がほぼ同時に声を上げる。