「あっ、聞いているよ。それで?」                    
『変ね、テンション低いわよ!もっと喜んでくれるかと思ったのに…どうかした?』                      
葵は話すべきかどうか迷ったが、久遠寺での出来事を話す。                     


『そう、そんな事があったんだ〜っ』                   
「それでこのまま調べていく必要があるのかなって思っちゃってさ。それに、最近、忙しかったし…」              

『そうだよねぇ〜っ。今日電話したのは菱山隆道とは会えないけれど、主寺とかは教えてもらえるから…』                       
「……」                    
『どうする?』                 
「そうだなあ、途中で止めるというのも気持ち悪いし…まだ春休みだから行ってみようか!?」                
『わかった!じゃ、私の方で聞いておくから具体的に決まったらまた電話するね』                       
「うん。わざわざありがとう」

『じゃ、また。お休み』             
「お休み」                   
(菱山隆道に繋がるとは思わなかった)                                                                                                                                     

それから4日後。                
葵と香澄は港区にある『宝承時』にいた。                 

「菱山隆道の実家の方に昔の文献も少しあるんだって。どうする?」                 
「うん、見せてもらう…」