───トン、トン


小さなノックが鳴って、果夜が入ってきた。


「蒼斗もシャワー使ったんだ?」


「うん。佑季達は?」


「先にシャワー貸してくれてね、パジャマパーティーしようかって言ってたんだけど、柏木さんにダメって言われちゃった」


「オレも恭平と2人になるなって注意された」


「フフッ…。なんか修学旅行の先生みたいだね?」


「だな」


「あ、蒼斗、ちゃんと髪乾かさなきゃ。あたしがやったげるから」


「いいよ。このまま寝る」


「ダーメ。ホラ、来て?」


果夜にオレに触れてほしくて。


髪を乾かしてもらう。


果夜の小さく細い指がオレの髪をすくたびドキドキする。


激しく動く心臓の音はドライヤーの音でかき消され。


すっかり乾いたオレの髪からは、ほのかに果夜の熱が残った。


「ハイ、できあがりっ」


「…サンキュ」


「明日早いし、もう寝よっか?」


「そうだな」


別々のベッドに潜り込み、浅い眠りの中、朝を待った。