「蒼…じゃなかった、アオイちゃん、アヒポキうまいぞ?」


「それはどーも」


「何だよ?全然食ってねーじゃん。あ、果夜ちゃんと何かあった?」


「シーッ!バカ、ここで言うなよっ」


オレが女装アイドルだと知らないスタッフもいる。


細心の注意が必要だ。


「悪りぃ、悪りぃ。お姉ちゃんとケンカでもしたかなー、と思ってさ」


ケンカならまだいいさ、ぶつかり合える。


ぶつかるどころかすれ違う事しかできねぇ。


苦い恋だよ、な。


ちっとも進まないオレは取り残され賑やかな食事が終わり、明日に備えて解散。


オレは部屋には戻らず、少し頭を冷やそうと恭平と時間を潰す事にして、ホテルの裏口にある人気のないソファーに移動した。