どのくらいの時間か分からないが、多分ほんの少しだと思う。

馬の集団から一人が歩み出て、声を発したのだ。


「鳴神の娘、我らは貴女に危害を加えない」

「よ、寄らないで! こっち来ないで!」


声は男だ。きっとみんな男なんだ。

裸だけは見られたくない。

それだけが理由だったのだが、男は違うことを考えていたらしい。


「では私は剣を捨てよう」

「・・・・は?」

「女性の騎士も同行させる」

「・・・・・」

「良いだろうか」

「お・・・・女の人だけなら」


剣を捨てるのが何だって言うんだ。

そこまでして裸見たいの、と思ったけど言わない。

どうせたいした裸じゃない、と言う気持ちもあったから。


白馬に乗った細身の甲冑が近づいてきて、甲冑は馬から下りた。


「どうぞ。戦地ゆえ、たいしたものは用意できませぬが、これをお召し下さい」

「ありがとう、ございます」


確かに女の人の声だった。

隠れるようにして受け取った服をささっと着た。


「ここは危険です。一緒に来ていただけますか」

「・・・・・はい」


差し出された手に摑まり、バスタブから出た時だった。


ものすごい轟音が耳を打ったのは。