二人の男は顔を見合わせた。
「・・・・・奇跡?」
「分からん。こちら側だったらどうする」
急ぎ外に出れば、やはり雷が落ちたらしい。
どうやらこちらとあちらの陣営の、丁度真ん中あたりのようだ。
偵察に行っていた者が戻り、息切れを抑える暇なく報告を始めた。
そして、その報告を聞いていた者は皆、我が耳を疑った。
それもそうだ。
雷と共に、湯桶に入った全裸の娘が落ちてきたと言われたのだから。
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寒い。
とにかく寒い。
寒さに耐え切れず目を開ければ、有り得ない光景が広がっていた。
並び立つ甲冑。軍馬。それらに囲まれたバスタブ。
「・・・・夢、だよね」
こんな現実あるはずがない。
それにしてもリアルな夢だと、妙な感想を持ってしげしげと周りを眺めていた。
その時、ふと、自分の姿に目がいった。
「あ、れ・・・・・?」
裸は分かる。お風呂に入ったままなのだから。
気になるのは、その体に纏わり付く白金の髪だ。
引っ張ると頭皮が痛い。という事はこれは自分のものなんだろう。
首を傾げた。
良く知っている自分の髪は、こんなに煌びやかでもないし長くもないからだ。
しかし悩むのに時間はあまりかからなかった。
なぜなら前と後ろから、馬に乗った甲冑が自分に向って駆けて来たからだ。