「拝啓 渡辺透哉様
以前より陰ながらお慕い申しておりました。
どうかお付き合い願いたく筆を取った次第で御座います。
お返事お待ち申し上げております。
敬具
二年一組 鈴鹿ひな
」
サーー…と自分の首から血の気が引く音がした。
悪魔の手の中にある可愛らしい便箋が、かすかに風にたなびいてカサカサ言っている。
もちろんひなはそんな便箋に覚えはない。
丁寧な文章だが、微妙にバカっぽく響くのは古い言葉を無理やり詰め込んだような代物だからだろうか。そんなところも馬鹿な自分が書いたようにみせる罠か。
渡辺は作り物のようににっこり微笑んで、ひなにつげた。
「ラブレターありがとう鈴鹿ひなサン。喜んでお付き合いさせていただきます。」
な
な
「なんですとーー?!」