あれから数ヶ月の事だ。


父さんが女遊びを始めたのは。

最初は、母さんも気に止めない程度だったけど、だんだん家族の時間は激減していき、父さんは朝帰りを繰り返すようになっていた。


それでも
幼い俺は全く気づかなかった。



「ねぇ母さん?
父さんはいっぱい仕事あるから帰ってこないの?」



そう言うと、
母さんは悲しそうに微笑んで
「そうよ」と静かに呟く。


何も知らない俺に
本当のことは言わなかった。


そんな母さんに俺は


「じゃあ僕は勉強して、もっといい子にならなきゃ!
そしたら父さん誉めてくれるよね」



そう言って
母さんが笑顔になるように
俺は笑う。


父さんは必ず戻ってくると
母さんに言いたかった。