まだ、大地くんは気づいてない様子。

「・・・」

やっと会えたから、気づいて欲しい。



けど・・・




気づいてほしくない。


今見てる光景が、私を嫌な気持ちにさせているから。



動けずに立ち尽くしていると、目が合った。


「・・・っ」


大地くんは驚いた様子。
そんな大地くんの腕に抱き付いている女の人と、目が合った。


その瞬間、大地くんに背を向け足が勝手に走り出した。


「はぁ・・・はぁ・・・」

さっき歩いてきた道を走り戻る。

仕事終わりの時間なのか、さっきよりも人が多い。
駅は、スーツ姿の人達がたくさん。
その行き交う人達の間を通り抜け、電車に乗った。