「はいっ。ありがとうございました」

目の前に差し出された、お金。
持つ手が、やっぱり震えている。


「…いらねぇよ。早く、財布にしまえ」

差し出された手を、戻すように押した。

「でもっ」

それでも、少女は差し出そうとする。


「…っ。いいって言ってんだろ!?しまえ!!」

震えた手で渡されたお金なんか、受け取りたくない。


声を荒げた直後に、ハッとした。


「ご…ごめん…なさい」



お金を慌てて財布に戻そうとしているが、さっきよりも手が震え、チャックもなかなか開けれない様子。


…しまった。


「あ…いや…」

頭の中をフル回転させ、フォローの言葉を探すが、こういうときに見つからない。


腫れた目で…
怯えた目で…
震える身体で…



俺を、見ている。