「もうすぐ、お母さんとお父さん来るからね。機械に触っちゃ、絶対ダメよ」

「うん!」


個室の病室へ付くと、看護師さんが椅子を用意してくれた。

椅子を引きずり、ベッドで寝ているお姉ちゃんの横に座った。

顔をのぞき込むと、血はもう出ていなかった。
けど、顔色が青白い。
身体が、たくさんの機械に繋がれている。


そして、目は閉じたままー…



「…お姉ちゃん」


呼んでも、目を開けない。


「お姉ちゃん…」

力なく横たわる身体に、ちょんっと触っても反応はない。


いつもなら、"ちょびちょび、うるさい!"って怒ってくるのに。




目の前にいるお姉ちゃんは、死んでるみたいだ。



「ユキ!」


ビク!


背後から大きな声で、名前を呼ばれた。

ゆっくりと振り返ると、そこにいたのはお母さん。



「…わらないで」


「お母さん?」



「遥香に触らないで!!」


ビク!

…え?

「離れなさいよ!」
「いたっ…」

後ろ襟を掴まれ、椅子から下ろされてしまった。


「おか…さん?」


「遥香…遥香…お願いよ…目を覚まして…」

「ねえ、お母さ…」


すがりつくように、お姉ちゃんにしがみついているお母さんの肩を叩こうとしたがー…



「触らないで!」



パチン!と、手を叩かれてしまった。


「あんたのせいで、遥香は…」

叩かれた手のひらが、ジンジンと熱い。





「あんたが死ねば良かったのよ!!」



ドクン。




「…」





後、心も熱い。