勢いで少女にぶつかりそうになったが、後一歩のとこでブレーキをかけた。


そのことに気付いた少女は、不思議そうな表情をしてこちらを見ている。


「…」


店長のやろー…俺にどうしろってんだよ!


内心とは別に、表情はニコっと笑って見せた。
仕事柄、こういうは得意。


「い…いつも、ここで弁当買ってるのかな?」


「…」


うわぁー…不審な目で見てるよ!!


もう、さっさと帰ろう!
俺には、関係ないことだし…


「答えたくないならいい…」

「…はい」

ゆっくりと、少女は頷いた。



「そ…そうなんだ」

答えちゃったよ!
話続けなきゃいけないじゃんか!

「お母さん、ご飯作ってくれないの?」


「…滅多に帰って来ないから」
「お父さんは?」

「仕事で…帰って来るのは、夜遅く…」


「そうなんだ…」


店長のせいで聞いちゃいけないこと、聞いちまったじゃねぇか!!