「こ…こんにちは!」

「こんにちは…てか、よく分かったね。まだチャイムも鳴らしてないのに」

「リビングの窓から大地くんの姿が見えて…あ、どうぞ」


少女が家の中に入るようにと、手で示した。


「あ…いや…」

家の中に入るのを躊躇してしまう。


「大丈夫ですよ。私しかいないんで…多分、今日も誰も帰ってきませんから」

そんな大地に何かを察したのか、少し寂しそうな表情をさせ言った。



「誰も…帰って来ないって…」

今、"今日も"って言ったよな?

「…」


ゆっくりと少女の家を見上げた。


二階建ての家。



こんな大きな家に、一人きりでー…
しかも、今日だけじゃなく…



「大地くん?」

「あ…いや」


黙ったまま家を見上げている大地を、不思議そうにユキが問い掛けた。


「料理…後少しでてきますから待っててください」


そう言いながら、少女は家の中に入って行った。


「…」


本当に、いいのか?


という気持ちもまだ残っているが、少女の後に付いて家の中に入った。