「大・地・く・ん。お疲れ様」

「!?」


次の日の夜、仕事帰りにタバコをコンビニに買いに行くと店長が満面の笑顔で迎えた。


「な…何だよ?」

その笑顔の迫力に、後ずさりをしてしまった。


「あの子と付き合うんだって?」

「は…付き合う?」

「ユキちゃんと、よ!」

「ユキ…あ…」


いつの間に聞いたのか、ユキとはあの少女の名前。

てか、付き合うって…

「変な言い方すんなよ。俺はただ…」

「ユキちゃん、すごく嬉しそうな顔してたわよ!それに、大地くんに言われた通り、料理に挑戦してみるって」

聞いてないし…


「…それは、良かった」


「大地くんにも、食べてもらいたいって言ってたわよ」

「そう」

「だから、はい」

「…は?」


店長から手渡されたのは、一枚の紙切れ。

「あの子の家までの地図」


地図…


「は!?」


紙切れをよく見ると、丁寧にコンビニから少女の家らしき場所までの道順が書かれていた。


「…」


家まで食べに来いってことか?


「来週の日曜日、料理作って待ってるって」

「行かないって伝えといて」

「ダメよ!行かなきゃ!」

「ダメと言われても、おかしいだろ?見ず知らずのおっさんが、中学生の少女の家を訪ねるなんて」

連絡先を交換するのを通り越して、家まで来いってー…ありえないだろう。