「気にするな。俺も、気にしないから」

「…はい」


頭を上げ、隣に座っている大地をチラッと見た。


「…」

…やっぱり、大地くん…さんだけ違う。


こういうのは、運命の相手とは違うのかな?

だったら、どうして大地くん…さんだけ鮮やかに見えるのかわからない。


気にするなって言われても…私はやっぱり、気になっちゃうよ。

大地くん…さんにとっては、迷惑かもしれないけどー…



「ところで、大地くん…さんって何だよ?」

「え?あ…何て呼んでいいのか、わからなくて…」


年上の人と接することなんか、学校の先生とぐらいしかないから、呼び方がわからなかった。


「どっちでもいいよ。"くん"でも"さん"でも」


どっちでもいいって言われるとー…



「…じゃあ、"大地くん"?」


同年代の男の子を呼ぶような言い方のほうが、言いやすい。

けど年上の人、相手にまずかったかな?


黙ったままの大地を、そーっと目で見た。


その目と、大地くんの目がバチっと合ってしまった。


そして…




「はい」




目を合わせたまま、大地くんが笑って返事をした。