「いや…やめとくよ」


手に持っていたタバコをベンチに置いた。


「…で、えーと…」

運命の相手がどうとかの話は、避けた方がいいな…



「さっきの店長が、君のこと心配してたよ?」

「…毎日、お弁当買いにきてるから?」

「それもあるし…もしかしたら、君が虐待されてるんじゃないかって…」

「…」


あ…ヤバい。
ストレートに聞きすぎたかも?


「…虐待はないです。ただ、家に誰もいないだけです。それで、夕飯を…」


「そうなんだ…でも、こんな遅くに出歩いてると心配しない?」

「…私のことなんか…」


少女は、言葉を続けなかった。
唇をキツク閉じ、押し黙ってしまった。


やっぱり、虐待されてんじゃ…

でも、喋りたくないのを無理に聞くのもあれだし…深くかかわるべきではない。

「そっか。でも、危ないから早く帰った方がいいよ。じゃ」

俺には、関係のないことだ。



「ちょ…ちょっと待ってください」