ゆっくりと振り返ると、背後にはさっきの男性がいた。
「…」
表情を引きつらせながら、笑っている。
「い…いつも、ここで弁当買ってるのかな?」
この質問に、さっきの店員と話していた内容がだいたいわかった。
「答えたくないならいい…」
毎日、毎日弁当を買いに来る中学生はそんなに珍しいのだろうかー…
「…はい」
私にとっては、これが普通のこと。
「そ…そうなんだ。お母さん、ご飯作ってくれないの?」
「…滅多に帰って来ないから」
「お父さんは?」
「仕事で…帰って来るのは、夜遅く…」
「そうなんだ…」
私が答えるたびに、男性の顔は困惑していってるような気がする。