「とにかく、ユキちゃんが無事で良かったわ!!」
少女の家に着くと、店長は図々しく家の中に入って行った。
「…ご心配おかけしてすいません」
リビングのソファに座り、店長は少女に寄り添っている。
大地はリビングの扉にもたれかかり、その様子を見守っている。
「2週間も学校にも行ってないって聞いたし、家は真っ暗だし!自殺したんじゃないかって、大地くんと心配してたのよ!ね!!」
「あぁ…」
「すいません…」
さっきから話を聞いていると、少女は謝るだけで何があったのか一言も言おうとしない。
これじゃあ、2週間前と一緒ー…
「あ!!やだ!!いけない!!」
「何、急に?」
思い出したかのように、店長がいきなり立ち上がった。
「今からの時間、バイトがいないんだった!!!店に誰もいないことになっちゃう!!!戻らなきゃ!!」
「だったら、俺も…」
「大地くんはダメよ!!!!」
「は?」
「今のユキちゃんを一人にさせるわけにはいかないでしょ!?残りなさい!!」
「はぁ?」
何言ってー…
「ごめんね、ユキちゃん。また話聞くから。頼んだわよ、大地くん!!!!」
そう言いながら店長はあっという間に、家から出て行ってしまった。
まるで台風が去ったみたいに、家の中は静けさに包まれた。