こんな夜中で、しかもこんな場所で泣かれたら俺はまた不審者呼ばわりー…
「はぁ…」
不審者かー…
「ごめん…なさいー…」
「…?」
何でまた急に謝る?てか、この間もずっと謝ってたよな?
「ごめんなさい…」
涙をぽたぽたと流しながら、少女が震える声で何度も謝っている。
「…」
これじゃあ、この間と一緒じゃないかー…
「大地くん!ユキちゃん捕まった!?」
息を切らしながら、店長が駆け寄ってきた。
「あ?あぁ」
「って!!!!泣いてる!?大地くん、何したのよ!!???」
「は!?何もしてねぇって!てか、夜中なんだから大きな声だすなよ」
店長に胸ぐらを掴まれ、グラグラと身体をゆすられる。
「詳しい話はユキちゃん家で聞くわよ!!さ、ユキちゃん行くわよ?もう逃げちゃダメよ。私、もう走れないから」
「おっさん」
「大地くんに言われたくないわ!!」
「だから、静かに…」
「心配したのよー」
聞いてねぇ…
店長は少女の肩を抱き、来た道をゆっくりと歩く。
「はぁ…」
少女は涙を拭いながら、時より笑顔を見せ店長と話している。
その姿を、少し後ろを歩きながら家に着くまで見ていた。