「お疲れ様です」


「「お疲れ様ー」」


あー、疲れた。

「大地、途中まで一緒に帰りましょ」

「柊」

会社から出ると柊が背後から声を掛けてきた。

「最近、大地付き合い悪いわね。彼女でもできたの?」

「は?」

「前はよく呑みに行ったじゃない?最近誘っても断るし、真っ直ぐ家に帰っちゃうみたいだし・・・彼女でもできたのかなって」

「いねぇよ。ただ、最近疲れやすいんだよ」

「あら、おじさんみたいな発言」

「うるせ・・・っと」


ブーブー・・・

胸ポケットに入れといた携帯が鳴った。

「わり」

登録されてない番号だ。取引先か?


「はい、もしもし」


『大地か?良かった、大学んときから番号変えてなかったんだな


ん?

聞き覚えのある声と、大学?

「あの、どちら様で・・・?」

『俺だよ、黒木だよ。』

「あぁ!黒木か ・・・あれ、でも番号・・・」

俺の携帯、大学の友達の連絡先は残してあったような・・・

『わり。俺、携帯変えたけど皆に番号教えてないんだ』

おいおいー・・・

「で、何の用だよ?」

『今度呑みに行こうって言ったじゃん?今日行こうぜ』

「は?急に言われても・・・」

まだ、帰って仕事がー・・・

「いいなぁ、私も行きたい!!」

「柊?!」

『大地の彼女?良かったら、一緒に行きます?』

「はい、行きます!」

「おい、柊!」

いつの間にか携帯は柊に奪われてしまった。

「はい、わかりました。今から会社出るんで、30分ぐらいで行きますね。はい、失礼します」

勝手に話を終えると携帯が手元に戻ってきた。

「柊、何勝手にー・・・」

「たまには息抜きしなさいよ。最近の大地ちょっと仕事のし過ぎよ?家に帰ってまで仕事してるんでしょ?」

「そんなこと・・・」

「とにかく!明日土曜日で会社休みなんだし、今日は呑みましょ。もし急ぎの仕事なら明日でも私も手伝うし」

「いや・・・いいよ。わかった」


これじゃあ、俺が必死に仕事してたのがパァじゃねぇか。


はぁー・・・