伸ばす手はモンスターに届かず、錆びた剣がヤオーツェの頭上に掲げられる。

「あ……」

 おそろしくゆっくりと振り下ろされる剣を見つめ、ヤォーツェは死を覚悟した。

 そのとき、視界の端から銀色の輝きが走り、振り降ろされる刃を甲高い音と共に押しとどめた。

「ケジャナル!? なんで!?」

「失敬ナ、大切ナ友のたメに戦うハ、当然ダろう」

 得意げに細い顎を上げてワニの女性は鼻息荒く応えた。

 気がつけばガビアリアンだけでなく、仲間のリザードマンたちも戦っているではないか。

「どうして?」

「彼女ニ説得されてハ仕方なシ」

「リュオシャル!」

 嬉しさに抱きつくヤォーツェを笑って抱きしめ返す。

 ヤオーツェは、見覚えのある懐かしい面持ちに涙が出そうになった。