「チッ」

 突然の軍勢にネルサは舌打ちして手を流す。

 発生した黒い霧から、さらに数百のガーゴイルが現れた。

 「こいつはまずいぞ」

 アレサは上方(じょうほう)を睨みつける。

 空を飛ぶモンスター相手にはこちらが圧倒的に不利だ。

 加えて硬いガーゴイルを倒すのは骨が折れる。

「いやいやいや、多いって!」

 上空を飛び交う灰色の影にマノサクスは怒鳴った。

 飛べるのがオレだけって、どう考えてもこれはだめだろ!?

 魔法使い(ウィザード)たちが打ち落としてはいるが、ほとんどが致命傷を与えられずに再び空にあがってしまう。

 人間たちは気圧(けお)され絶望感が辺りに漂った。

「どうしよう」

 これではいけないとマノサクスは唇を噛んだそのとき、

「マノサクス!」

「セルナクス!?」

 降り立つ親友の後ろには評議会の親衛隊までいるじゃないか。