「この状況じゃあ、増える数と減る数が一緒ってことにもなりかねないがな」

 倒れていく仲間たちを見つめて汗を滲ませる。

「だが、確実に向こうも数を減らしている」

「おうさ!」

 エンドルフは静かに応えたシレアに強く返し、モンスターの群に突っ込む。

 長身から繰り出される戦斧はコボルドたちをなぎ倒し、威嚇するように雄叫びを上げた。

 ──そしてシレアは激しい戦いのなか、懐かしい影を遠目に捉える。

「ロシュリウス!」

 名を呼べどこの乱戦では声は届かず、ちらついていた姿もいつしか見失ってしまった。

 彼が成人を迎えて旅立つ日にみた背中はそのままに、貫禄は増していたように思う。

 そうか、彼も共に闘ってくれているのかとシレアの口元には自然と笑みがこぼれた。