私があれこれ考えていると、突然、ずっと握られたままだった手を引っ張られた。





「ちょ…っあの!」


 そのまま、引きずられる様にその場を離れて行く。





「空翔…!」


 先輩の呼びかけに、歩みを止めたその人は後ろを振り返る。



「もう暗いし、こいつは俺が送って行く。あんたはその人と用事があるんだろう」



 言われて気付く。オレンジ色だった空はもう、闇色に染まりつつあった。



「……でも、」


「そうね……その方が良いわ。空翔、くん……だったかしら。妹を頼むわ」


「はい。じゃ、行くぞ」


「……へ?」


 ぼけーっと、そんなどうでもいいことを考えていたら再び手を引っ張られた。


 そのまま、先程よりもゆっくりした歩幅で、流される様にその場を後にした。