あの日、私がいたのは、



 立ち入り禁止の屋上だった…




 フェンスに向かって一歩、もう一歩
 ゆっくり、ゆっくり歩み寄る。

 無造作に建てられた緑色のフェンスは
 まるで、私を待っていたかのようだった。


 フェンスに手をかけ、
 目を閉じた。


 映画の主人公みたいに、
 悲しみに浸ってみようかとしたけれど
 心に浮かんだのはなぜか昨日見た
 ドラマの続きが、もう見られない事への
 寂しさだけだった。