「やめろよ。
弥生、嫌がってるじゃん」

このとき、俺が初めて健ちゃんという弥生の元カレに口を開いた一言だった。

「…弥生?」

なんで呼び捨てなんだよ?みたいな顔でその男は俺を睨みつけて言った。

「お前、ガキだろ?
自分のことばかり考えていないで、少しは弥生の気持ち、考えれば?」

すかさず俺も睨み返す。


「お前には関係ない」



平然とした顔がやけにむかつく。


俺は確実にこいつに見下されている。


頭が悪くて、チャラチャラした男。こいつにはきっと俺のことをこう見えてるに違いない。





俺は絶対、こいつを好きになることはできないと、心の底からそう思った。