何かにつけて"忙しい"を言い訳にする。

あかんで、そんなん。いつか大切なものを見失ってまうから。


あのオッサンも忙しいんやろうけどな、頑張れ普通のサラリーマン。

心の中で気持ちの込もっていないエールを送ると、ビニール袋を上から覗き込んだ。

さっき買ったばかりの牛乳と小さなケーキが並ぶ。

ぶつかった衝撃が心配だったが、崩れたりはしてなかった。

「…寒いなぁ。」

安心してため息をつくと
白くなった息に小さく呟く。

足元にあった石を、なんとなく蹴ってみた。