「ん?逢坂さんって、聞いたことあるなぁ。
もしかして、あの勉強教えてた?」
「そうそう!あの逢坂だよ!」
「ああ、やっぱりー!会ってみたかったんだー♪」
「瑞穂と違って、おしとやかな子だろー?」
いつもの優しい先輩とは違って、
きっと彼女にしか見せないような素の、先輩。
ちょっといたずらな子供のような、先輩。
わたしの知らない先輩――。
「あ!ねぇ!
よかったら、逢坂さんも一緒にごはん行かない?
ね?ヒロ?」
ちくっ。
先輩を特別に呼ぶ彼女さんの明るい声に胸が痛む。
「いいね!
逢坂さえよかったら、一緒に行こうよ!
ごちそうするよ♪」
どうしよう、
涙がこぼれそう。
でも、返事しなくちゃ。
顔をあげなきゃ!
「あれ?佐々木じゃん?」