「‥!」
一瞬にして、顔が凍りつく。
「ごめんね、お待たせ!」
走ってくる綺麗なその人から、ふわっと花のにおい。
「あれ?」
わたしに気づいて、
彼女は先輩に視線を投げる。
「あぁ!この子は、逢坂さん。高校の後輩なんだ」
「そうなんだ、はじめまして」
にこっと美しく笑うその人に、ぺこっとおじぎするだけで精一杯‥
決定的なことを言われたら、泣いてしまうかもしれない。
「あ、逢坂。こいつは瑞穂って言うんだ」
まるで自分のもののように、その人を¨こいつ¨なんて呼ぶ先輩に確信する。
――彼女なんだ。
「ちょっと!ちゃんと紹介してよね?」
「ちゃんとしてるだろー?」
先輩と彼女さんが、わーわー言いあってる中、
顔があげられない、わたし‥。
こんな先輩、初めてみるよ‥。
目頭が熱くなってる。
今、顔あげたら、泣きそうなの、ばれちゃう‥