「君どっかで見た事あるなあ・・・もしかして港西大学の生徒じゃない?」

「・・・」

「違ったかなあ」

東慶介は首をかしげながら張り詰めた空気を解きほぐそうと引き攣った笑いを浮かべた。

(なんだよこの女、そんな目で俺を見やがって)

「ぼ、僕は東慶介22歳。港西大学の4年。港西大学知ってるよね」

「・・・」

「知らない?新宮市に一つしかない大学なのに」

「ここは本当に新宮なのか?」

仲埜の言葉に慶介は思わず息を飲んだ。

「ど、どうして」