「何か俺、一歌さんに嫌われてる気がするんだよね」



裕樹は隣に並ぶマネージャーに囁くように言った。


「ひがまれてるんじゃないですか?」


裕樹のマネージャーである八木は、軽い口調で言ったが、本心ではないようだった。


「ひがまれる要素がないよ」


裕樹はその冗談に対し、笑って答えた。


「確かに。一歌さんの方が歌、上手いですしね」


八木も笑いながらそれに返す。


「いや、それ禁句でしょ。事実だから」


裕樹と八木は、顔を見合わせてもう一度笑った。