普通の女なら、修二の顔が近くなり、ときめくところなのだろうが、生憎、一歌は少しもときめくことはなかった。
「ゲームです」
一歌は怪訝さを露にしながら口を開いた。
一歌がやっているゲームは集中力を要するものなので、出来れば邪魔をしないで欲しかった。
案の定、一瞬の気の逸れに、見事にゲームオーバーを迎えた。
「もう、邪魔しないで下さい」
一歌は溜め息をつきながら、修二に告げ、再びゲームを始めた。
修二は意外にも一歌のその言葉に素直に従い、大人しくしている。
一歌は気が付くと、完全にゲームに夢中になっていた。