「いいな、ニーナ。」
「は、はい!」
ニーナの返事にひとまずは安堵する。
「それから……」
膨れるエレナを余所に口を開く。
「今日からイースト地区へ行く。」
「イースト地区へ?」
「あぁ。」
反逆者の残党は全て捉えたものの、イースト地区はまだ危険だ。
フォレストの逃亡計画が本当だったとすると、国境付近にギルティスの兵が待機していたはず。
国家の内乱とイースト地区の治安が整うまでは、現地で直接指揮を執る必要があった。
だが、それにはそれなりの時間を要する。
「今回はどれくらい向こうに?」
ニーナもそれを分かっているようで、そう聞く。
「3日程だろうな。」
途端、エレナの表情が強張った。
「3日……」
銀色の瞳にさす悲しみの色。
それを見逃しはしなかった。
「エレナも連れて行く。準備をしておけ。」
「ッ……わたしも?」
憂いた表情から弾かれたように顔を上げる。