「何か問題がありましたか?」


ケロッとした表情でそう聞くニーナ。

その顔には厭味など全くなく、純粋に疑問の色が見えた。

俺が未だエレナに手を出せずにいる事など、ニーナは知らない。

むしろ、良い演出だっただろうとでも思っているのだろう。




本当に余計な事をしてくれる…



しかし―――――

そんなことで心を乱されているなど言えるはずもなく…



「……春先だと言ってもまだ寒い。コレでは風邪を引く。」


適当な理由をつけて納得させようとする。

単純なニーナならそれ騙せると思った。

案の定ニーナが納得したような顔で「そうですね…」と口を開きかけたが……




「わたし…寒くないです…」


ボソッと小さな声で呟いたのは、先程まで眠そうにしていたエレナ。

ぷくっと不満げに膨れる頬。




はぁ…これ以上ややこしくしないでくれ…



「寒くなくてもだ。」


そう言えば、益々顔を顰める。