まだ眠っていたのだろう。
侍女服ではなく、ゆったりとした就寝用の服を着て。
いつも結いあげられている髪は下ろされていた。
寝起きだと言うのに、目は冴えきっている。
朝早い主の訪問に、相当驚いたのだろう。
国王である俺が使用人の部屋に来るなどないからな。
しかし、こちらも気遣ってやる余裕などない。
「ど、どうされたんですか!?」
ツカツカと容赦なく部屋に踏み込む俺に、見事に声がどもるニーナ。
バフッ―――――
「コレをどうにかしろ。」
「ニーナ……?」
そう言ってニーナが座るベッドの上に下ろしたのは、まだ目の覚めていないエレナ。
首を傾げた拍子にスルリと落ちた肩ひもに、頭を抱えたくなる。
「あのぉ……シルバ様。どうにかしろとは?」
恐る恐る聞くニーナをギロリと睨む。
瞬間、ニーナから小さく悲鳴が上がる。
「この格好だッ!」
エレナの着る夜着を指して大きな声を出せば…
ニーナだけでなく、エレナもビクッと肩が上がり目を瞬かせる。
やっと目が覚めたらしい。
……が、自分がどうしてニーナの部屋に居るのか分かっていない様子。