「あぁ……だが、急ぐ事はない。」


ウィルにそう投げかけると…




「シルバ…」


目を軽く見開き、驚いた様な顔をしている。

しかし、それは一瞬のことで…




「変わりましたね。」


ウィルは、ふわりと柔らかい笑みを浮かべた。

心底嬉しそうな顔をして…




「何の事だ。」

「前はあんなに焦っていたじゃないですか。」


そんな時期もあったな……

治安の悪いイースト地区に頭を抱え。

復興が治安の改善に繋がると思い、その為だけに動いて来た。



しかし、反逆者の横やりで復興がなかなか進まず、ウィルの言う通り焦っていた時期もあった。

不思議と焦りが消えたのは、エレナをあの賭博場から連れ去った時からだった。



エレナの能力を手に入れ、焦りが消えていたのか。

はたまた、エレナに振り回されそれどころではなかったからか。

どちらにせよ、エレナに関わりのある事だと言う事は間違いない。

だが、この事実をウィルに言うつもりはない。