その不安を拭う為にも連れて来たのだが…

どちらにしても苛立っている自分がいた。



深いため息が零れる。

すると、それを聞いたウィルが「重症ですね…」と呆れた口調で言う。




「煩い。俺に話があるんだろ、早く言え。」

「話を上の空で聞いていたのは誰だか。」


ボソッと小さな声でそう言うウィル。




「まぁいいです。本題に入りますよ?」

「あぁ。」


苦笑したウィルに、一言そう答える。

すると、今までの和やかな表情から一変。

ウィルは国王の側近としての顔つきになる。

そして、固い表情のまま口を開いた。





「イースト地区の国境線にギルティス兵が接近しているようです。」

「やはりな……」


ウィルが言おうとしていた事は大体の予測はついていた。

もともと、エレナを連れ去ろうとしていた国だ。

ギルティス側の人間にもエレナの情報は漏れているだろう。