「あれ?」


さっきまで足元を飛び跳ねていた子犬が居ない。

どこに行ったの……?

辺りを見渡すが、どこにも見当たらない。

やっぱり私に懐いたわけじゃなかったのかしら。



それならそれで良いのだけど…

少し寂しいと思うのも事実。

こんな私を慕ってくれて、とても嬉しかった。



頼られるって良いものよね…

そんなことを考えながら、シルバの元へ帰ろうとしていた時だった。



キャンッ!キャンッ!



「ッ……!」


再び聞こえてきた鳴き声。

間違いなくあの子犬の泣き声だった。




「どこにいるの?」


辺りを見てみるけれど、どこにも見当たらない。

耳を澄ませて聞く。



すると…―――――


キャンッ!



「え?」


子犬の泣き声がありえない方向から聞こえた。

ぐるりと振り返ったのは、湖。