ピチャン…――――
湖の冷たい水が、痺れた脚に気持ち良い。
足が回復するのを感じるとともに、先程の事を思い出す。
“脚を冷やしてこい”
ぶっきらぼうに告げられた言葉。
けれど、この上なく温かな言葉。
シルバは長旅をした事のない私を気遣ってくれて。
自分でも気付いていなかった変化に気付いてくれた。
その瞬間、後悔がどっと押し寄せたのは言うまでもなく…
ちっぽけな事でへそを曲げていた自分が情けなくなった。
戻ったら謝ろう……
そう決めて、足を冷やしていた時だった。
キャンッ…――――
「え?」
ふと足元から聞こえた鳴き声。
その鳴き声を辿って、周囲を見渡せば…
すぐ後ろに、小さな子犬がいた。
キャンッ…――――
亜麻色の毛並みに愛くるしい瞳でこちらを見ている。