早朝のドタバタから数時間後―――


私達は予定通りイースト地区へ向かった。

その馬の上。

シルバに支えられ、馬に乗って移動しているのだが…




「………」


王宮を出てからシルバと一言も口を聞いていない。

あの後、ニーナの溜息の理由が知りたくてニーナに詰めよったけれど…




「私の口からは言えません」の一点張りで。

シルバに聞いても「煩い」と一蹴りされたのだ。

そして、今に至る―――


ぷくっと膨れた頬と寄せられる眉。

チラッとシルバを見上げれば、シルバも難しそうな顔をしている。

眉は顰められ、口は固く閉ざされている。



シルバと少しでも一緒に居たいと思ってついて来たけれど…

この沈黙に、少し後悔。

口を聞いていないと言う居た堪れなさから逃げたいのだけれど…

ピタリと抱き寄せられ逃げられない。

それに、心の底からそう思っているわけではないから。

ただ、私もシルバの考えが知りたいな…って思うだけ。



私だけが知らないなんて、悲しいと言うか…

私が悪いなら直すのに…

自分では分からないから言って欲しいのに…と思うのだ。

けど、シルバがコレじゃ絶対に言ってくれないだろう事は予想できた。